第25話・海ちゃん、ネムネム

 前回までのあらすじ
 内定者報告会での海ちゃんの報告は、参加者から羨望の眼差しを集める素晴らしいものであった。終了後、みっつと共に夕食を買いにスーパーに向かうことになった。この日、みっつとラビが泊まりに来る予定だったからだ。以前、海ちゃんの手でラビット物語特別読切り篇として書かれた状況が現実となるのだ!果たして、どんな夜になるのだろうか!?

 外に出た海ちゃんとみっつの前には、小雨が降っていた。何事にも用意周到な海ちゃんは傘を用意していたが、みっつは指導室に置いている傘を取って来るのも面倒なのでスーパーまで少し濡れていく事にした。
 海ちゃん 「すいませんが、僕は(お前みたいなチンピラと違って)スーツを着てるので(濡れ鼠になるのはご免なので)傘を差させていただきますよ~。エヘへへヘ」
 みっつ 「ああ、別にいいよ~。」
 スーパーまでは5分もしないで行けるので2人はさっさと歩いて行った。店内に入った2人は、一目散に食品売り場へと向かった。途中、イカの揚げ物の試食品があったので当たり前のように2人は食べた。特に海ちゃんは、1回で3切れ程、爪楊枝に刺して食べていた。ささやかに腹黒い・・・。
 海ちゃん 「やはり、この時間では値引きされてないですね~。エヘへへへ」
 みっつ 「だねぇ。どうする?また、後で行くかい?」
 海ちゃん 「ラビ次第ですね~。とりあえず、パンを見ていいですか?エヘへへへ」
 工場の場所が近いから当然なのだが、このスーパーには海ちゃんの勤める会社のパンが多くあった。海ちゃんはキャンペーンに応募するつもりのようでシールのついたパンを買うつもりのようだった。
 海ちゃん 「あと、アイス売り場を見てもいいですか?エヘへへへ」
 みっつ 「おお、いいよ~。」
 再び移動した2人はアイス売り場を見ていた。すると海ちゃんが、
 海ちゃん 「こうやってアイス選んでるのも後でラビット物語になるんですよね~。エヘへへへ」
 と、言い出した。
 みっつ 「当然じゃないか~!今更、言ってるんだい?」
 海ちゃん 「また、(僕にとっては心外な)腹黒いとか書かれるんですよね~。エヘへへへ」
 みっつ 「まぁ、事実だし諦めなよ~。」
 そんな会話を交わしながらアイスを選んでいたが、どうやら海ちゃんは食べてみたいアイスが2種類あって悩んでいた。
 海ちゃん 「このエンゼルパイみたいなのと、格安のチョコのアイスで悩みますね~。エヘへへへ」
 みっつ 「じゃあ、俺は1度食べてみたかったホットケーキのアイスにするよ!」
 その後、しばらく悩んでいた海ちゃんであったが結局、両方買うということにしたようだった。会計を済ませ、外に出た2人は小雨の中を海ちゃん宅まで急いだのだが、その途中で、
 みっつ 「そういえば、正伝に書いてあったけど、ラビは就職決まったんだってね?」
 海ちゃん 「(残念ながら)そうみたいですよ~。ついに決まったようですねぇ。でも、まだ活動は続けてるようで、こないだも(怪しげな)自己啓発セミナーらしき所に参加して自分の長所を探そうとしたらしいですよ~。エヘへへへ」
 みっつ 「ま、マジで!?でも、ラビの長所と言えばガン・シューティングくらいだもんね~。あれの実技が試験にあれば一発で受かるのにね。」
 海ちゃん 「確かに、あれをやっている時(だけ)はカッコがいいですからね~。エヘへへへ」
 と、ラビに対し勝手な事を言って盛り上がっていたのであった。それから、更にしばらく歩き、
 みっつ 「やっと着いたね~。少し濡れてしまったけど。」
 海ちゃん 「部屋は汚れてますが、ゆっくりして下さいね~!僕は着替えてきます~。エヘへへヘ」
 居間にあるイスに座ったみっつは、テレビを見たり、海ちゃん推薦のガンダムのDVDを見ていた。それから、少しゲームなどをしていたが、19時半くらいチャイムが鳴り、あの男(一応、主人公)の到来を予感させた。
 海ちゃん 「はいは~い!今、出ますよ~!エヘへへへ」
 と、言いながら海ちゃんが玄関に応対に行った。すぐに、聞きなれた声が玄関から聞こえて来た。そして、
 ラビ 「よう、こんばんわ!これ、土産だ。」
 ビール3本の入った袋を片手にラビが登場した。
 みっつ 「久しぶりだなぁ。元気にしてたか?」
 ラビ 「まぁなぁ~。なんとか生きてるよ。」
 海ちゃん 「では、おやっさんも来たし、そろそろご飯を買いに行きますか~?エヘへへへ」
 なぜだか、この日の海ちゃんは1日を通じてラビを「おやっさん」と称していた。だが、みっつも当事者であるラビでさえも特に疑問を挟む事はなかった。ただ単に聞くのが面倒くさかったのが本音であろう。
 みっつ 「でも、まだ時間的に早いから、もう少ししてから行かない?」
 ラビ 「じゃあ、ガンダムのゲームをやらしてもらうぜ~。」
 という訳で、しばらくゲームに興じてたラビであったが、始めてやるゲームなのに自慢の腕で、どんどん上手くできるようになっていった。
 海ちゃん 「相変わらず、おやっさんはゲーム(だけは)上手いですね~!では、時間的にいいと思うので、行きましょうか。エヘへへへ」
 出かけるために用意を始めた3人だったが、
 ラビ 「俺の財布の中はもう空っぽだぜ。ビール買って来たからなぁ。」
 みっつ 「そうなの?晩飯は食べて来たんだろ?」
 ラビ 「ああ、食べたよ。おい、海ちゃん!どうした?」
 先に外に出ていた2人だったが、海ちゃんが出て来ないので中に戻ってみた。すると、
 海ちゃん 「財布が見つからないのですよ~。エヘへへへ」
 ラビ 「マジで!?急いで、探そうぜ。」
 思い当たるところを色々と調べてみたが、中々見つからず3人は焦り始めていたが、なぜか一見して有りそうにない場所で発掘された。
 海ちゃん 「いやぁ~。お騒がせしました。では、行きましょうか。エヘへへへ」
 これで、一行は無事にスーパーへと行くことが出来た。流石に、閉店間際の時間になると値引きがされていて、首尾よく夕飯を調達した3人は海ちゃん宅へと帰ってきた。そして、
 ラビ 「じゃあ、ビールも空けたし、そろそろ乾杯するか?」
 みっつ 「そうだな、じゃあ何に乾杯する?」 
 ラビ 「やっぱ、海ちゃんの就職だろ~。という訳で、乾杯!」
 この後、ラビはガンダムに没頭し始め、海ちゃんとみっつはご飯を食べながらラビに対し野次を飛ばしていた。しばらくして、みっつもゲームに参加していたのだが、ラビとみっつは海ちゃんが妙に静かなのに気づいた。恐る恐ると見てみると、足をストーブに向けながら、うつ伏せの状態で寝ていたのだった。
 みっつ 「お、お~い。海ちゃ~ん。」
 ラビ 「家主が寝てしまったなぁ。まぁ、いいか。ゲームするべ。」
 みっつ 「相変わらず、お前は外道だなぁ。さ、次はどのゲームやる?」
 ラビ 「なんだお前も同類じゃないか~。じゃあ、三国無双やろうぜ~!」
 すると、海ちゃんが動き出した。だが動きにいつものキレがない。
 海ちゃん 「寝てしまいましたね~。あ、みっつ君。アイス食べましょうか。エヘへ」
 笑い声も乏しい海ちゃんだったが、アイスを目も前にしたら目の色を変えて幸せそうに食べていた。アイスによって元気を取り戻したのか、海ちゃんも三国無双に参加したが交代してフリーになると、また寝てしまっていた。
 みっつ 「よっぽど疲れたんだろうね~。まぁ、今日は内定報告会もあったし仕方ないさ。」
 ラビ 「だなぁ。じゃあ、三国無双やるか。」
 どうやらラビは、完全に海ちゃんを無視しゲームに埋没しようとしているようだった。ゲームに飽きるとラビとみっつは「面白いゲーム」とは?をテーマに論争をしていた(この間、海ちゃんは熟睡)
 そして、4時頃になって流石に眠くなってきたラビは海ちゃんの目覚めを機に帰宅して行った。(ちなみに傘を忘れて行きやがった)海ちゃんとみっつは布団を引いて眠ることにした。すぐに熟睡したのは言うまでもないだろう。だが、4時間もしない内に「明日」はやって来てしまうのだった・・・。

 さて、予定よりも公開が遅れてしまった第25話ですが、色々と書きすぎてしまって本編が長くなってしまいました。結構、打っていて疲れました・・・。さて、次回は、たらい回しにされてしまっている選挙話を近いうちに書いてみようと思います。第26話「ラビット流選挙」をお楽しみに!そして、海ちゃん!内定者報告会、本当のご苦労様でした~!

※この物語は事実を元に構成されたノンフィクションです。
           [総監督・原作・監修] 海ちゃん
           [脚本・シリーズ構成] みっつ


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